意外な出来事

花 鳥 雲


ほんの日常の個人的な出来事


彼が茶封筒を持って帰宅。
ふくらんだその茶封筒が気になった。
「これ、なに? 見ていい?」 「いいよ」

食事をする彼の横で、茶封筒を開けてみる。
それは意外なものだった。

裁判所から公布されている「期間入札の公告」と
記された書類だった。

そこには8月に競売に出される不動産物件が
載せられていた。
その競売物件の詳しく書かれた住所や建物を見て、
ほんとうに驚いた。そこは知人の家だったからだ。

驚くわたしに彼はとても冷静。
その家の奥様さよさん(仮名)とは、
ちょっと前に立ち話をしたばかり。
彼女はふだんと少しも変わっていなかった。

スラリとしたとても美人で、キリッとした行動的な方。
その日疲れた様子も、追い詰められている様子もなかった。

「またど~して!」絶句するわたし。
「いろいろあるんだろう。金銭のやり繰りに失敗したんだろう」

男って、こういうとき本当に冷静に語る。
熱くなっているわたしとのギャップを感じる。

「ところで君は大丈夫? 俺の給料にみあった生活してる?」
 ギクッ!・・・・・!? そうきましたか!てごわい~。

「フー!」とため息をつきつつ、
「これからどーするんだろう、さよさん?」
「まあ、さよさん達はまだ若いんだ、やり直せるさ。
君も家計管理をおこたりなくね」 「・・・!」

そんな彼が、しばらく黙って食事を続けたあと、
ポッンと「今月の出張は、他の人に変わってもらったから」と
つぶやいた。わたしも黙って頷く。

仕事人間の彼が、自分の出張を他の人に変わってもらったのは、
彼の彼の身に起こったことが理由。
彼の彼のことは、いつか書いてみたい。

さよさんに会ったら・・・普通でいようと思う。
でもさよさん急にいなくなったりしないでね。
何も言わなくていいから、一度お茶をしにきてね。

フッと、なんだかチャップリンの言葉を思い出しました。

「襤褸を纏っても、上品でありなさい」



追記

さよさんたちは、ちゃんと周りの人たちに挨拶をして
新たな地に出立していきました。彼の言うように
若い二人、きっと大丈夫でしょう。

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